今日も第一の副業で表に出ている。

そろそろセミの声が必死に聞こえるのは俺の気のせいだろうか。

俺の記憶が確かなら、セミが鳴く主な理由は

求愛

に外ならず、オスしか鳴かなかったと思う。

即ち、オスがメスを呼んでいるワケだ。

多くのセミがワンワンワンワンと鳴いている盛りの頃は、恐らくメスも大勢あって、次から次にカップルが成立しているに違いない。

そんなセミの大合唱もだいぶ落ち着いてきた。

同時に、メスの数も減りつつあると想像できる。

頑張って鳴いてアピールしても、呼びかけに応えてくれる相手(メス)が存在しないのでは仕方がない。

婚期を逃したオスが精一杯にアピールしている。

そんな悲しい"独身セミ"の姿を想像してしまう。

そう考えるのも俺自身と"独身セミ"が重なるからだろう。

"独身セミ"はまだ諦めていないだけ立派だ。

俺はすっかり諦めてしまった。

連綿と引き継がれ、混ざったり変わったりしながら作られてきた俺の遺伝子は俺で終わる。

そう考えるとご先祖に申し訳ない。

とはいえ他の親戚もいるし、俺の家系としては何の問題もないのだろう。淘汰されるのはあくまで俺の遺伝子なのだ。

確かにデキソコナイだしな。

どうにも必死に聞こえるセミしぐれに打たれつつ、そんなことを考えていた。