昨日の血液透析からの帰り。
そろそろ良い季節で、18時頃に終わる透析が済んだ後でも、そこそこ表は明るい。
やはり施設を出るなり真っ暗闇、よりかは、いくらかでも明るい方が頼もしく感じられたものだ。
帰途を行くと、見慣れぬ黒い猫さんがいた。真っ黒で可愛い。毛は少し長めで、顔が丸っこい。
当然のように俺を警戒し、顔こそコチラを向いてはいるものの、前片足は軽く地面から離れており、すぐにでも逃げ出せる体勢をとっている。
少し距離を置いて屈み込み、接触を試みた。
明らかな警戒。
チッチッと口を鳴らしたり、手でおいでおいでをしたりすると、いちおう何となく興味はひかれるらしい。
屈んだ姿勢のまま、ほんの少し近づく。
ぐぐっと猫さんの体が向こうへ逃げた。やはり強く警戒しているようだ。
余り構っても可哀想かなとは思いつつ、もうちょっとだけと更に近づいた。
その瞬間、猫さんの表情が変わった。
明らかに迷惑そうな顔。その瞬間
「えぇ…何なんスかぁ…」
という、さも迷惑そうな声が俺のアタマの中で響いた。
別に、動物とテレパシーで通じ合った、とか、そういうハナシが書きたいのではない。
ただ、あのいかにも迷惑そうな猫さんの顔と、
「えぇ…何なんスかぁ…」
の台詞が妙にマッチしておかしかったのだ。
それぐらいあの顔は
「えぇ…何なんスかぁ…」
の顔だった。
変な人間からからまれそうになって、たいそう迷惑だったのだろう。
途端に気兼ねがして、そのまま猫さんから離れることにした。
きっと夜の闇になら溶け込んでしまいそうな黒猫。
そんな黒い猫さんでも見つけられる晩春から初秋のかけての明るい夕方は嫌いじゃない。
不気味な騒動さえなければ良い季節がやってきた。
そろそろ良い季節で、18時頃に終わる透析が済んだ後でも、そこそこ表は明るい。
やはり施設を出るなり真っ暗闇、よりかは、いくらかでも明るい方が頼もしく感じられたものだ。
帰途を行くと、見慣れぬ黒い猫さんがいた。真っ黒で可愛い。毛は少し長めで、顔が丸っこい。
当然のように俺を警戒し、顔こそコチラを向いてはいるものの、前片足は軽く地面から離れており、すぐにでも逃げ出せる体勢をとっている。
少し距離を置いて屈み込み、接触を試みた。
明らかな警戒。
チッチッと口を鳴らしたり、手でおいでおいでをしたりすると、いちおう何となく興味はひかれるらしい。
屈んだ姿勢のまま、ほんの少し近づく。
ぐぐっと猫さんの体が向こうへ逃げた。やはり強く警戒しているようだ。
余り構っても可哀想かなとは思いつつ、もうちょっとだけと更に近づいた。
その瞬間、猫さんの表情が変わった。
明らかに迷惑そうな顔。その瞬間
「えぇ…何なんスかぁ…」
という、さも迷惑そうな声が俺のアタマの中で響いた。
別に、動物とテレパシーで通じ合った、とか、そういうハナシが書きたいのではない。
ただ、あのいかにも迷惑そうな猫さんの顔と、
「えぇ…何なんスかぁ…」
の台詞が妙にマッチしておかしかったのだ。
それぐらいあの顔は
「えぇ…何なんスかぁ…」
の顔だった。
変な人間からからまれそうになって、たいそう迷惑だったのだろう。
途端に気兼ねがして、そのまま猫さんから離れることにした。
きっと夜の闇になら溶け込んでしまいそうな黒猫。
そんな黒い猫さんでも見つけられる晩春から初秋のかけての明るい夕方は嫌いじゃない。
不気味な騒動さえなければ良い季節がやってきた。